東海シクロクロス最終戦を含む残務や来シーズンに向けた事務手続き、調整など僕の東海シクロクロスはまだまだ終わっていませんが、父の死も含めて気持ち的には一段落したのでシーズンの締めのご挨拶をさせて頂きます。
後半4戦すべて雨ということで、東海シクロクロスの本来のポテンシャルを発揮できませんでしたが、参加者様ならびに関わって下さる皆様の多大なるご協賛・ご協力を賜り、東海シクロクロス 2023-2024シーズンをなんとか無事終えることができました。
一人では何も出来ないので取り巻く環境に感謝。昨年、東海地方で初開催した全日本選手権のレガシーを残すためにも、非常に重要なシーズンと位置づけで、昨シーズン以上に多くのチャレンジができたのも皆様のおかげでございます。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
コロナという前代未聞の事態の真っただ中で、全日本選手権を控えた2020年に、ライダーとしてもまだまだ伝えたいこともたくさんあるなかで、先代の山田会長からオーガナイザーを引き継いで欲しいとオファーを戴き、不意に東海シクロクロスの運営を任されました。
大小問わずレースイベントの運営はあらゆる面で、加点というより減点方式だし、東海シクロクロスの規模でも収益性は低く、自分の通常業務にも影響が出るので、あまりにもハイリスクローリターンな業務で、利他の精神が強い山田会長だから出来たと言っても過言ではなく、本気で覚悟を決めるのはやはり数年を要しました。今現在も自分の業務を圧迫していますが、振り返ると今シーズンはその覚悟が出来たシーズンだったのかなと思っています。その想いも多くの方に伝わったシーズンだったので、結果として数年かけてやってきたことの可視化も明確に出来たのではないかと思います。
僕がオーガナイザーになるタイミングで、諸事情により、3つの会場が使えなくなってしまいましたが、たくさんの方にご尽力戴き、この3シーズンで新たに3つの会場を増やすことができたのも、覚悟の証でしょう。
コロナ禍でイベント開催には消極的な行政とのやり取りをするうえで、東海シクロクロスを開催することへのメリットのプレゼンと同時に、自分のやりたいこと、表現したいことをグッと抑え、時には言い争いをしながら、自分へのメリットを自分なりに消化し、自分の限界を越えて頑張ったと思える3年でした。
良くも悪くも関西シクロクロスと比較されますが、比較するのもおこがましいくらい、そもそも歴史も違うし、文化も違うし、関わる関係者の数も違うし、エリアの大きさも違う。言わば関西シクロクロスと比べたら、東海シクロクロスはまさにあらゆる面で試験運用中で、創成期の真っただ中にあるのです。自転車は本来自由な乗り物。関西には関西のやり方があり、東海には東海のやり方がある。その違いや失敗も受け入れ、文化の違いを最大限に楽しむことができるのもAJOCCシリーズのいいところではないでしょうか。
残念ながら東海シクロクロスの運営にはマニュアルもルールもありません。非常にクリエイティブな仕事内容が要求されますが、3年目のシーズンということで、私自身も全体の流れも何となくですが把握できてきたことで、昨シーズンに引き続き、持続可能出来るよう大会運営のシンプル化(業務負担の軽減)をしながら、シクロクロスという競技ではなく、東海シクロクロス独自のブランド力を向上すること。シクロクロスが過渡期と言われるなかで、日々の活動を通して、しっかりマーケティングし参加者も維持すること。この二つをコンセプトとして、各地域の行政や企業様、団体様の連携によるネットワークづくりに注力し、運営に携わらせて頂きました。
そんななかで僕が10年前にトップカテゴリーで全国を転戦し走っている時代から、長期的なプランで力を入れていた取組みである、『次世代に繋ぐ』アクションが一つカタチになったのではないかと思います。当時未就学児だった彼らが東海シクロクロスとともに成長し、東海シクロクロスのシーンを牽引する。そんな姿が見れたのは嬉しい限りです。
2013年からスタートしたプレ大会平田シクロクロス(2015年AJOCC加入)を経て、10年を迎える東海シクロクロス。駐車場やトイレなどインフラが整う会場が少ないながらも、参加者の増減が少なく安定期に入った東海シクロクロスが、他との差別化として、全国に先駆け取り入れたのが、ジュニア、ユースカテゴリーの単独スケジュールを組み込むこと。
ME1に迫るスピードと、それを凌駕するスキルを持つライダーが増え、僕が想像したものを遥かに越えるパフォーマンスで、わずか一年で東海シクロクロスの注目カテゴリーに仲間入りしました。
こちらは最終戦 千石公園のワキタソフトによるライブリザルトによるデータ。左はME1 U23全日本チャンプの達海君で、左がこの日ジュニアより速かったU17 中学2年生 14歳ショウゴ君。
エリート1のレースがジュニア、ユースの次のレースで若干コンディションが違うし、そもそもレース時間も違うので一概に彼らが東海シクロクロスのME1の平均より速いということは証明できませんが、数字からはもわかるよう、非常に高いレベルでレースをしています。
何が言いたいかというと、感覚ではなく、データを運用し、昨シーズン彼らを社会実験しながらいろんなシチュエーションで走らせましたが、彼らがME1より下のカテゴリーでこのまま混走を続けると、いつか大きな事故を誘発するだろうと考えていました。これは嬉しい課題で、今シーズンは多くの方々にご理解いただき、実現することができました。
ジュニア、ユースを新たに総合表彰対象として、彼らをニューヒーローとして可視化すること。観られている意識を向上していくことは彼らのスキルアップにも繋がりますし、歳の近い身近なライダーが活躍することで、近年参加者の増えるキッズクラスにいい影響を与えてくれています。
今シーズンの全日本選手権は残念ながら東海シクロクロスからはエリートカテゴリーからは参加がなかったですが、東海シクロクロスから育った彼らは、東海代表として日本一を決める宇都宮での全日本選手権にチャレンジし、その後もしっかり存在感を表してくれました。
もちろん彼らはエリートカテゴリーで走るのもルール的には問題ないですが、大人と混じって走ってしまったら、目標設定も低くなり、ただ少し速いライダーという認識で、身内だけでワイワイするだけになってしまう。
世界を見ればダート出身の選手がロードレースで世界チャンピオンになる時代。ダートでバイクの進めるスキルは幼少期から身につけていくことが一番。まずは自転車を操ることを楽しんで欲しい。
日本のど真ん中にある 東海シクロクロスということで、交通の利便性を活かし、彼らが活躍できる環境を東海シクロクロスで作っていきたいので、関係者だけでなく、参加者にもご協力をいただけたらと考えいます。
こちらは最終戦 千石公園の参加者の属性。あいにくの雨でしたが多くの方に参加いただき、楽しんでいただけたと感じています。長期的な取組みのなかでの一つの成果として、人気カテゴリーは定員に達するなど、既存のカテゴリーの数値は安定したのはもちろんですが、逆ピラミッド構造になりがちな自転車レースにおいて、キッズから20代前半の参加者が増えているのが、来シーズンに向けて明るい話題ではないでしょうか。
ハードでいうと、単純にシクロクロスはトレンドは終わった、で解決してしまうかもしれませんが、ソフト側の僕らはここからがカルチャーにしていくうえで非常に大事なフェーズに入っていきます。
シクロクロスはマウンテンバイク、ロードバイクに比べるとコンパクトな会場での開催が可能で、親子で気軽に 参加でき、自転車に乗らない方にも説明しやすく分かりやすい競技なので、地域への理解を増やし、競技者だけ でなく、支える人を増やすことで、東海独自のスポーツとして発展していく可能性があると考えます。
この数年の取り組みで、有難いことに来シーズンはうちで!という会場のオファーも数件あるので非常に嬉しい悩みでもありますが、お互いがプラスになる関係を構築していきたいと考えています。
今後はレースを開催するだけでなく、行政、地域と連動し、新城市 東郷ケッターパークのように気軽に楽しめる専用フィールドを増やし、そこで競技を開催していくことがさらなる発展に繋がると考えています。ここには多くの理解と協力が必要で、やはり、サッカーや野球のようにお母さんが送り迎えできる環境にフィールドがないと本当の意味での普及ではないでしょう。
東海シクロクロスとしての今後の全体のビジョンとしては、サイクリストの価値を上げていくうえでもサイクリストのモラル向上の啓蒙活動をしていくとともに、今後持続していくうえでの課題点をひとつ、ひとつ解決していくこと。そして競技の発展において、既存のマーケットを維持しながらキッズ、ユース、ジュニアの人口を増やすことが命題で、避けて通れない課題になっています。
至らぬ点も非常に多かったと思いますが、現状維持は衰退を意味します。せっかく戴いたポジションなので、ライダーとしても率先して、東海シクロクロス独自の取り組みを行っていきますので、引き続きご支援よろしくお願い致します!ありがとうございました!!
photo by kikuzo