
東海シクロクロスから飛び出し世界にチャレンジする。東海シクロクロスがAJOCCに加入して今年で10年を迎えます。僕がシクロクロスを始めた当時の東海エリアは、シクロクロス、いやダートレース自体が「遠征ありき」のスポーツでした。
仕事、結婚、子育てといった人生のフェーズが変わるたび、機材スポーツとして趣味を続けるにはあまりにも負担が大きい。様々な理由で辞めざるを得なかった状況を多く見てきたし、これでは、スマートなライフスタイルとして成立しません。 だからこそ僕らは、この環境そのものをデザインし直そうと、二つのマストな目標を掲げました。
・大人が仕事も家庭も両立しつつ、身近で楽しめるフィールドを提供すること。
・子供達が、野球やサッカーのような身近さで、サイクルスポーツに触れられる環境を整備すること。
東海シクロクロスの立ち上げはこの地域にシクロクロスカルチャーを根付かせるという、クリエイティブな挑戦だったわけです。

photo by kikuzo
東海シクロクロス立ち上げからの集大成となったのが、僕がオーガナイザーを引き継いで、最初の大きな仕事となった2023年全日本シクロクロス選手権の地元愛知開催です。 大きな仕事過ぎて失敗だらけでしたが、僕ら東海シクロクロスチームが、サイクルスポーツの最高峰の舞台を地元に招致したこと。
これは、長年「土壌がない」と言われたエリアで活動を続け、地域に根を張ってきたことの、決定的な証明となりました。
全日本開催は、ローカルで活動する僕らにとって、最高のデザインであり、大きな挑戦でした。そこで本物を見た彼らが自発的にこの競技に魅了されていったのではないかと想像しています。

中学生になってからは息子といい距離感を置きながら、様々な普及活動をするなか僕自身も「子供が高校生になれば、少しは自分の時間が作れるかな」なんて、親として甘い見通しを持っていました。でも、現実は違い、僕らが整備した「身近なフィールド」で育った息子が、今やジュニア世代となり、全国を飛び回るアスリートになってしまったんです。
自転車そのものを楽しむことを目的として、遠征しなくてもいい環境を作ってきたので、正直、まさか自分の息子が、かつての「遠征組」になるとは、全くの想定外でした。これは嬉しい誤算!? 親の自由時間は増えるどころか、むしろ挑戦をサポートする時間に変わりました(笑)


photo by Y.kato
先日開催されたJCX開幕戦。国内トップ選手が集うエリート1と比べ、東海シクロクロス立ち上げから育った選手が圧倒的なラップタイムの速さを見せてくれました。エリート1は戦術が絡むレースなので、あくまで参考タイムではありますが、この数字は彼らの自信になったはず。タクマは残念ながら混走のME2の周回遅れをパスするのに手こずり、ポディウムパックから離脱してしまってたけど、エリート1 トップと変わらないスピードですね。
近年、どのスポーツも若年層の活躍が目覚ましいですが、シクロクロスも例外ではありません。テクニック、ロジックに基づく近年の若いライダーの走りは、本当にエッジが効いていてクールです。 僕らはその才能をしっかりサポートするため、ワキタソフトで正確なデータを取り、ジュニア、ユースの単独スケジュールを組んで、今シーズンで4シーズン目になります。これが、今まさに結果として現れ始めているのかなと。


この事実は、なかなか語られないですが、僕らがローカルで作ってきたフィールドの質が、日本のトップシーンで通用することを意味しています。彼らは、東海シクロクロスを含む土壌が育んだ「挑戦し続けるスタイル」を、結果という形で証明してくれました。
大人たちが「気軽に楽しむ」というライフスタイルを示し、子供達が「本気で挑戦する」という姿勢を追求する。
中学入学とともに自転車競技を辞める子が多かったけど、東海シクロクロスにおいては続けてくれる子も増えていますが、この上質なサイクルというか循環こそが、僕らがローカルでデザインしたスタイルかなと。人を育てるのには時間もかかるし、もちろん彼らのチャレンジは始まったばかりなので、社会経験もないし、たくさんの支援や協力が必要となりますが、先人がAJOCCのという競技運営システムをつくってくれたからこそ、僕もチャレンジできるし、彼らもチャレンジができる。
東海シクロクロス発の、スタイリッシュな次世代レーサー達に、ぜひご注目ください。そして、一緒にこのムーブメントを楽しみましょう!

photo by Y.kato
近年は東海シクロクロスのオーガナイザーとしての業務や、ローカルでの普及活動が中心で、ライダーとしてはかなりブランクがありましたが、久しぶりに選手登録をしてJCX/JCF開幕戦に復帰しました。今シーズンからマスターズ50です…。 そりゃ東海シクロクロススタートから10年ですからね。
ポイントはないのでスタートは5列目。ほぼ最後尾からのチャレンジ。50代はみんな血気盛んで速い。序盤で一気に10位までジャンプアップするも、上げ過ぎて中盤で少しペースダウン。それでも何とか持ち直して12位でフィニッシュ。
開幕戦の目標 10位内は達成できなかったけど、久しぶりに“後方スタートからのレース”を味わって、改めてシクロクロスの楽しさを実感しました。
今回は、自分の子供のチャレンジから遠征の機会をもらい、せっかくなので自分も負けないように走りました。 まさかまた遠征をするとはね。
時代は廻る。今シーズンは親子でJCXシリーズに転戦していくので応援よろしくお願い致します!